1年契約の従業員の期間途中での退職は認めなければならないのか

1年契約をしていた契約社員が、契約期間で退職を申し入れてきた場合、どんな理由でも受け入れなければならないのでしょうか?

やむを得ない事由が無い場合には退職できない

労働契約に期間の定めがあるときは、原則として契約期間満了前に契約を解約することはできません。これは、使用者だけでなく労働者もです。

契約期間の途中で退職することは、契約を解約することです。

契約を続けられないやむを得ない事由がある場合に限って認められています。

やむを得ない事由とは、社会通念上契約を続けることができないような内容のことで、次のような場合がやむを得ない事由にあたります。

  • 労働契約締結時に明示された労働条件と実態が異なっていた
  • 労働者自身のケガや病気
  • 家族の介護や看病
  • 出産のため

契約社員の退職理由が上記のようなやむを得ない事由に該当しない場合、退職の申し出を拒否することができます。

損害賠償もできるが

仮に、契約社員が辞めてしまった場合は、債務不履行であるとして損害賠償請求をすることも可能です。損害賠償の内容としては、労働者が理由もなく突然辞めてしまったため、後任の補充ができず、業務ができなくなり、仕事を受注できなくなった場合などが考えられます。

ただし、当然ですが、具体的に損害が発生しなければ賠償義務は生じません。損害賠償の際には、損害の立証が必要であることと、使用者が損害の発生を回避する努力をしたかどうかも問われることになり、実際には、損害賠償の請求はあまり現実的ではありません。