年次有給休暇の計画的付与と退職者
- 2018.10.15
- 労働時間・休憩・休日・休暇 退職・解雇
従業員が、退職する際に、残りの年次有給休暇(以下年休)をすべて消化してから退職したいと申し出るケースがあります。年休の計画的付与を行っている場合、計画付与してある年休は、どのようになるのでしょうか。
例えば、退職の申し出時点の年休残日数が12日、12日のうち退職日より後に計画付与されている日数が3日ある場合、
退職者が取得できる年休は、12日でしょうか? 9日(12日-3日)でしょうか?
結論としては、12日です。
退職日以降にある計画付与日は労働日ではないため、計画付与ができません。
年次有給休暇のの計画的付与
年休の計画的付与とは、従業員の意思とは関係なく年休を取得させることができる制度です。
計画的付与を行うには、労使間で協定を結び、年次有給休暇を与える時期に関する定めをする必要があり、協定で定めた内容のとおりに年休を取得させることができます。
使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、第一項から第三項までの規定による有給休暇を与える時季に関する定めをしたときは、これらの規定による有給休暇の日数のうち五日を超える部分については、前項の規定にかかわらず、その定めにより有給休暇を与えることができる。
(労基法 第39条 第6項)
時季指定権と時季変更権
計画的付与された年休を、あとから別の日に変更することはできません。
労働者の時季指定権および使用者の時季変更権はともに行使できない
(昭63.3.14 基発第150号)
計画的付与の年休の付与日
年休の計画的付与は、年休の付与日が労働日であることを前提として行われるものです。
付与日前に退職する従業員に対しては、退職日後を付与日とする計画的付与はできません。
計画的付与は、当該付与日が労働日であることを前提に行われるものであり、その前に退職することが予定されている者については、退職後を付与日とする計画的付与はできない。したがって、そのような場合には、計画的付与前の年休の請求を拒否できない。
(昭63.3.14 基発第150号)
参考
年次有給休暇についてはこちらにも書いています。今回は、以前の記事でさらっと書いた計画付与と退職者の関係について書いてみました。
資料
19880314 基発第150号 労働基準法関係解釈例規について
こちらはPDFへの直接リンクです。計画年休については、348ページに書かれています。
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