働き方改革法案 2019年4月から年次有給休暇取得が義務に
- 2018.10.29
- 労働時間・休憩・休日・休暇
- 法改正
年次有給休暇5日取得の義務化
2019年(平成31年)4月より、使用者は、年10日以上の年次有給休暇(以下年休)が付与される全ての労働者に対し、毎年年休のうち5日間について、時季を指定して取得させることが義務となりました。
計画的付与制度などにより、労働者がすでに取得した年休の日数分は、時季指定の必要がなくなります。
つまり、5日間は年休を使用させる必要があります。
中小企業も2019年4月1日から
中小企業も2019年4月1日から義務化されます。
多くの法改正にある中小企業に対する適用猶予期間はありません。
年休の時季指定義務
対象となる従業員
年休の指定義務が発生するのは、年10日以上年休を付与される労働者です。
具体的には、次のようになります。
- 週5日以上または週30H以上の勤務をしていて、入社から6か月を超えている人
- 週4日勤務かつ週30時間未満の勤務をしていて、入社から3年6か月を超えている人
- 週4日勤務かつ週30時間未満の勤務をしていて、入社から5年6か月を超えている人
これらの方たちについて、2019年(平成31年)4月1日から、最低年5日の年休を使用させる必要があります。
年休の付与日数の表で確認するほうが分かりやすいので、下に表を作成しました。
表の赤いマスが10日以上の年休の付与が必要になる労働者です。
週所定 労働時間 |
週所定 労働日数 |
年所定 労働日数 |
|
勤務年数(年) |
||||||
0.5 |
1.5 |
2.5 |
3.5 |
4.5 |
5.5 |
6.5 |
||||
30H~ |
5日~ |
|
付与日数 |
10 |
11 |
12 |
14 |
16 |
18 |
20 |
30H未満 |
4日 |
169~ 216日 |
7 |
8 |
9 |
10 |
12 |
13 |
15 |
|
3日 |
121~ 168日 |
5 |
6 |
6 |
8 |
9 |
10 |
11 |
||
2日 |
73~ 120日 |
3 |
4 |
4 |
5 |
6 |
6 |
7 |
||
1日 |
48~ 72日 |
1 |
2 |
2 |
2 |
3 |
3 |
3 |
管理監督者も対象
管理監督者であっても年休の指定義務が発生しますので注意が必要です。
時季指定義務の対象外
次の場合には、年休の時季指定義務の対象外となります。
- 計画年休制度により、年5日以上の年休を既に付与している場合
- 年5日以上の年休を既に取得している場合
あまり深く考えなくとも、労働者が自分で取得するのか、会社側から取得させるのか、どういう形であれ対象者が最低年5日の年休を取れるようにする必要があるということです。
年休の付与日数が年10日未満の労働者は、そもそも義務の対象ではないので、ごちゃ混ぜにならないように注意しましょう。
1年間の起算日(基準日)
1年間の起算日は、年休を付与した日です。基準日と言います。
この基準日からから1年以内に、最低5日の年休を取得させる必要があります。
基準日は法定の年休付与の日ではなく、実際に年休を付与した日です。
入社日から付与すれば入社日から1年間となります。
詳しくは、厚生労働省のサイトに載っています。
時季の指定方法
年休の取得時季を指定する場合の方法は、2つあります。
- 計画的付与を利用
- 個別に対応
年休を取得する時季を会社が指定するというと、年休の計画的付与が思い浮かぶかもしれませんが、時季の指定義務に関しては必ずしも計画的付与を行う必要はありません。
計画的付与を利用
年休の計画的付与(計画年休などと呼ばれます)は、各個人が持つ年休の取得日を会社が決めてしまう制度です。時季指定義務に似ていますが、計画的付与を行うためには労使協定を結ぶ必要があります。
メリット
労働者個人ごとの管理が不要になる
計画付与で5日以上の年休を指定してしまえば、従業員ごとに年休を5日以上の使用したか管理する必要がなくなります。
デメリット
- 日にちを変更できない
- 従業員が使いたい日に使えない
日にちを変更できない
計画付与を行うためには、計画付与の日にちなどを定めた労使協定の締結が必要です。
労使協定で決めた年休取得日は変更することができません。
後から日にちを変更する可能性がある場合には、計画的付与の制度は導入しないほうが賢明です。
従業員が使いたい日に使えない
会社が一方的に取得日を決めてしまう計画的付与の場合、従業員が自由に使えなくなってしまう可能性があります。計画的付与で割り振る日数にもよります。
日ごろから年休を取得しづらい環境の職場の場合には問題は生じませんが、日ごろから比較的有休を使用できる環境がある場合には、配慮が必要かもしれません。
個別に対応
労働者各人ごとに年休の消化日数が5日以上になっているかを確認し、5日の取得ができなさそうな人に対して、年休を指定します。
メリット
計画的付与と異なり年休取得日を変更できる可能性がある。
計画的付与のように労使協定で取得日を決めてしまうのではなく、会社と該当者との話し合いで年休の取得日を決めることになるため、年休取得日を変更できる可能性があります。
デメリット
各人ごとの年休の消化状況を把握する必要があり、管理の手間がかかります。
年休の時季指定義務に違反した場合の罰則
時季指定義務に違反して対象者に年休の指定をしなかった場合、30万円以下の罰金が課されます。
参考
以前書いた年休に関する記事
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年次有給休暇の計画的付与と退職者 2018.10.15
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