フレックスタイム制に関するQ&A
- 2017.03.14
- 労働時間・休憩・休日・休暇
- 労基法
フレックスタイム制の設計
コアタイムを個別に設定できるか?
- 対象労働者の出退勤の自由が確保されていれば、部署別・個人別にコアタイムを設定する事も可能
ただし、個別に設定すると、実務上で煩雑な処理が生じるデメリットがある
- 労使協定で、すべてのコアタイム、フレックスタイムの時刻を定める必要がある
- コアタイムの開始時刻、終了時刻
- フレキシブルタイムの開始時刻、終了時刻
- コアタイムが守られているかどうか、個人ごとチェックしなければならなくなる
始業時刻または終業時刻のみフレキシブルタイムに設定する事は可能か?
- 始業時刻または終業時刻を労働者に委ねていないため、フレックスタイム制を適用できない。
フレックスタイム制においては、始業時刻及び終業時刻を労働者に委ねる必要がある。片方のみ委ねる場合には、フレックスタイム制を適用できない。
始業時刻又は終業時刻の一方についてのみ労働者の決定に委ねるのでは足りない
(昭和63.1.1基発1、平成11.3.31基発168)
また、フレキシブルタイムが極端に短い場合もフレックスタイム制として認められない。
例えば、フレキシブルタイムの開始時刻帯が8:00からで、コアタイムの開始時刻が8:30などの場合
ただし、この場合の極端に短いのがどのくらいかという基準は明示されていない。
フレキシブルタイムが極端に短い場合、コアタイムの開始から修了までの時間と標準となる1日時間がほぼ一致している場合等については、基本的には始業及び終業の時刻を労働者に委ねたこととはならず、フレックスタイム制の趣旨には合致しないものであること
フレックスタイム制の労働時間
フレックスタイム制で、出退勤の時刻をあらかじめ届出させることは可能か?
職場内で各労働者の予定を把握するなどのため、あらかじめ届け出させるだけなら可能。
出退勤時刻を指示したり、変更したりすることはできない。
フレックスタイム制と休憩時間
フレックスタイム制でコアタイムのみ働く場合、休憩時間を与えなくてよいか?
- コアタイムのみ働く日についても、休憩時間は与えなければならない。
休憩は、原則として、事業場で一斉に与え、その時間を自由に利用できるよう、定められている。
フレックスタイム制であっても適用される。
コアタイムが、休憩を取らなくとも良い時間(6時間未満)で定められている場合であっても、休憩時間をコアタイムの間に定めている場合は、休憩を与える必要がある。
例えば、コアタイム10:00-15:00であっても、休憩時間を12:00-13:00で一斉に取るような定めがある場合には、コアタイムが5時間であっても、12:00-13:00に休憩を与えなければならない。
コアタイムが6時間未満で、コアタイムのみ働きたい場合、
「コアタイムのみ働く日には休憩時間を与えない」
などの規定が必要になる。
フレックスタイム制と年次有給休暇
フレックスタイム制の対象者に、年次有給休暇の計画的付与ができるのか?
- フレックスタイム制の対象者も、年次有給休暇の計画的付与の対象となる
フレックスタイム制は、所定労働日の労働時間について、始業・終業の時刻を労働者本人に委ねる制度。労働日や休日は、労働者が自由に決定できない。
フレックスタイム制と欠勤・遅刻・早退
コアタイムに欠勤・遅刻・早退した場合
- コアタイムに欠勤・遅刻・早退した場合に、欠勤・遅刻・早退として取り扱う事は可能。
ただし、賃金の控除は清算期間中の総労働時間数を労働したかどうかで判断することになる。
- 賃金を控除可能: 実労働時間 < 総労働時間
- 賃金の控除不可: 実労働時間 ≧ 総労働時間
コアタイムの欠勤・遅刻・早退に対して懲戒を行うことは可能。
この場合は、就業規則に記載しておく必要がある。
コアタイムに欠勤・遅刻・早退した場合には、次のような取扱いをすることになる。
- 就業規則の減給の制裁に基づいて、懲戒として、減給の制裁を行う。
- 勤怠の査定として、賞与支払の際に減額査定を行う
- 精皆勤などの手当を支給する際に、勤怠状況を反映させ、減額する。
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