過重労働による通勤災害は使用者に責任が!?

通勤災害でも使用者に責任が

通勤中の事故は労働者の自己責任ですが、通勤中の交通事故の原因が過重労働による居眠り運転などがである場合、その事故の責任を会社が負うことになる可能性が高くなります。

2014年にバイクでの帰宅途中に事故死した従業員の両親が、事故が起きたのは過重労働が原因だとして、会社側に約1億円の損害賠償を求めた訴訟は、2018年2月横浜地裁川崎支部で和解が成立しました。

事故の内容は、徹夜の勤務を終えて仕事先からミニバイクで帰宅中、電柱に衝突し死亡したもので、事故当日の労働時間は、前日からの約22時間で事故前1か月間の時間外労働は約90時間でした。

和解勧告の中で、裁判所は、「雇用主は、労働者の通勤に際し、過労で事故を起こさないよう注意する安全配慮義務を負う」と判断。「事故の危険を認識できたのに、公共交通機関を利用するよう指示しなかった」と義務違反を認めた。
地裁川崎支部:過労事故死 通勤時も会社に安全配慮義務 – 毎日新聞

過重労働とは

過重労働とは、労働者に身体的・精神的な負荷を与える労働のことで、基本的には長時間労働のことを言います。
時間外・休日労働の時間が月に45時間を超えて長くなるほど身体・精神への負荷が大きくなります。月100時間、2~6か月平均で月80時間に至ると、健康障害発生のリスクが非常に高くなります。

過重労働による過労死や自殺などは、電通社やNHK社での過労死が有名です。
過重労働では、過重労働による過労死や、うつ病などの精神障害が問題になっていて、一度問題が起これば使用者責任を求められます。

今後

今回の裁判では、本来であれば業務とは関連性の低い通勤での事故が過重労働によるものであると判断されました。

日ごろは過重労働がない場合でも、トラブルなどの対処で時間外・休日労働時間が増え、月100時間に達するようなケースはあり得ることです。そういった場合には、従業員の出勤から帰宅まで気を配ってあげる必要が出てきそうです。