腰痛と労災
- 2016.08.23
- 労災・安全衛生
目次
労災認定される腰痛の種類
労災として認定される腰痛は、2つに分けられる
- 災害性の原因による腰痛
- 腰に受けた外傷によって生じる腰痛
- 外傷はないが、突発的で急激な強い力が原因となって筋肉等が損傷して生じた腰痛
- 災害性の原因によらない腰痛
- 日々の業務による腰部への不可が徐々に作用して発症した腰痛で、発症原因により次の2種類に分けられる
- 筋肉等の疲労を原因とした腰痛
- 骨の変化を原因とした腰痛
- 日々の業務による腰部への不可が徐々に作用して発症した腰痛で、発症原因により次の2種類に分けられる
災害性の原因による腰痛
災害性の原因による腰痛が労災として認定されるには、次の2つの要件を満たす必要がある。
- 腰の負傷またはその負傷の原因となった急激な力の作用が、仕事中の突発的な出来事によって生じたと明らかに認められること
- 腰に作用した力が腰痛を発症させ、または腰痛の既往症・基礎疾患を著しく悪化させたと医学的に認められること
業務中の「ぎっくり腰」であっても、「ぎっくり腰」は労災認定されにくい
ぎっくり腰は、普段の生活の中で起こることも多いため、業務中にぎっくり腰になったからといって無条件に労災が認められるわけではない。
ぎっくり腰:急性腰痛症
ぎっくり腰が労災認定されるためには
発症時の動作や異常な姿勢をしていたことにより、腰へ強い力や急激な力がかかった、不自然な姿勢になり腰をひねったなどの場合は認められる事がある。
- 重量物の運搬中に転倒した
- 重量物を2人で運搬中、1人が手を滑らせ荷物を落としたため、もう1人に大きな負担がかかり腰を痛めた。
- 持ち上げる重量物が予想に反して、重かったり、逆に軽かったりした
ぎっくり腰が労災と認められない例
- 落ちた書類や工具を拾おうとしてぎっくり腰になった
落ちたものを拾う動作は普段の生活での動作と変わらず、業務により腰に異常な力が加わったとは認められないため。
災害性の原因によらない腰痛
災害性の原因によらない腰痛が労災として認定されるには、次の2つを満たすもの
- 突発的な出来事が原因ではなく、重量物を取扱う仕事など、腰に過度の負担のかかる仕事に従事する労働者に発症した腰痛で、
- 作業の常態や作業期間などからみて、仕事が原因で発症したと認められるもの
筋肉の疲労が原因の腰痛と業務
次のような業務に比較的短期間(約3か月以上)従事したことによる筋肉等の疲労が原因の腰痛
- 約20kg以上の重量物または重量の異なる物品を繰り返し中腰の姿勢で取り扱う業務
- 港湾荷役など
- 毎日数時間程度、腰にとって極めて不自然な姿勢を保持して行う業務
- 配電工(柱上作業)など
- 長時間立ち上がることができず、同一の姿勢を持続して行う業務
- 長距離トラックの運転業務など
- 腰に著しく大きな振動を受ける作業を継続して行う業務
- 車両系建設用機械の運転業務など
骨の変化が原因の腰痛と業務
次のような重量物を取り扱う業務等に相当長期間(約10年以上)にわたり継続従事したことによる骨の変化を原因として発症した腰痛。
- 約30kg以上の重量物を、労働時間の3分の1程度以上におよんで取扱う業務
- 約20kg以上の重量物を、労働時間の半分程度以上におよんで取扱う業務
- 上記と同程度に腰部に過度の負担のかかる作業態様の業務
ただし、通常の加齢による骨の変化の程度を明らかに超える場合に限られる。
参考
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