社員旅行中の怪我など
目次
社員旅行中に社員が怪我をした場合、労災と認められますか?
A: 労災と認められないものと考えられます。
労災として認められるかどうかは、社員旅行が業務の一部であるかどうかによります。
業務の性質が少ないもの
- 社員旅行への参加意思が従業員本人に委ねられている
- 社員旅行へ不参加であったとしても欠勤扱いなどの制裁措置がない
社員旅行が強制参加であっても、社員旅行の目的が慰安を中心としたものであれば、やはり労災認定される可能性は低いです。。
裁判例
社員旅行で搭乗した航空機が墜落した死亡事故は労災事故と認められるか
次の点から、社員旅行は業務の一部とは言い難く、労災と認定することは妥当では無いと判断されました。
- 参加、不参加は、従業員らの自由意思に任され、参加が強制されていなかった
- 主たる目的は観光及び慰安にあること
(多治見労基署長事件 岐阜地裁平成13年11月1日判決)
労基署でも、労災と判断するためには次のような状況が必要になると伝えられました。
- 平日に社員旅行に行っている
- 社員旅行を休んだ場合に給料から欠勤控除される
暗黙のルールで、参加が強制されている社員旅行での怪我に対する企業の対応
そうは言っても、暗黙のルールで、参加が強制されている社員旅行中に怪我などがあった場合、特に本人の不注意ではなく不慮の事故などの場合、従業員の気持ちが納得できません。
企業として、次のような対応が望まれます
- 企業として労災申請手続きを支援する
- 見舞金などの名目で不慮の事故を見舞う
社員旅行が労災と認定されるために必要なもの
労災(業務災害)に該当するためには「業務上」の負傷等であることが必要になります。社員旅行の場合、「業務上」の負傷等であるかどうかは、次のような内容を総合的に判断されることになります。
- 社員旅行の目的
- 内容
- 参加が強制されているか
- 費用の負担
- 運営方法
この中でも、特に「参加が強制されているか」が重要で、最初にチェックされます。
- 社員旅行への参加が強制されている
- 不参加の場合には欠勤控除されたり、職場で通常の業務を行うなどの措置がある。
社員旅行への参加は任意であっても、被災者が幹事などで社員旅行を行ううえで必要な人員であった場合は、業務として参加していると認められます。
この場合であっても、行き過ぎた行為で被災した場合には、業務遂行性を認められなくなります。
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