労災保険に未加入で労災事故が発生した場合の給付と費用負担

労災保険未加入の場合の労働者への給付

事業主が、故意又は重大な過失により、労災保険の加入手続を行っていない期間中に発生した労災事故の場合であっても、被災労働者への労災保険の給付は、労災保険に加入している場合と同様に行われる。

労災保険の加入手続きを行っていないとは、 「保険関係成立届」を提出していないこと

労災保険未加入の場合の事業主が負担するもの

労災保険に未加入の常態で労災事故が発生した場合、事業主は労災保険から支払われる給付に相当する金額の全部または一部を負担しなければならなくなる。

  • 100%負担 故意に未加入であった場合
  • 40%負担 重大な過失により未加入であった場合

これは、業務中の病気や怪我(いわゆる労災)の場合だけでなく、通勤中の病気や怪我(いわゆる通災)の場合でも同様に費用負担が発生する。

政府は、次の各号のいずれかに該当する事故について保険給付を行つたときは、厚生労働省令で定めるところにより、業務災害に関する保険給付にあつては労働基準法 の規定による災害補償の価額の限度又は船員法 の規定による災害補償のうち労働基準法 の規定による災害補償に相当する災害補償の価額の限度で、通勤災害に関する保険給付にあつては通勤災害を業務災害とみなした場合に支給されるべき業務災害に関する保険給付に相当する同法 の規定による災害補償の価額の限度で、その保険給付に要した費用に相当する金額の全部又は一部を事業主から徴収することができる。
(労災保険法 第31条 第1項)

故意に未加入と、重過失による未加入

故意に未加入と重大な過失による未加入とは、具体的にはどう違うか。
監督官庁からの指導があったかどうかで大きく分けられる。

  • 【故意】 労災保険の加入について労基署等から指導を受けたが、手続きを行っていない
  • 【重過失】 労基署等から指導等はないが、労災保険の適用事業になってから手続きを行わず1年が経過している
役所からの指導 保険加入が必要に
なってからの期間
故意 あり
重過失 なし 1年を超過