転職時の空白期間の医療保険
転職までに空白期間ができる場合、医療保険(健康保険)の選択肢は4つ
退社日と転職先の入社日の間に空白期間ができる場合、医療保険(健康保険)の選択肢は4つ。
- 退社する元の企業の健康保険の「任意継続被保険者」になる
- 国民健康保険(国保)に加入する
- 配偶者等の社会保険の扶養になる
- 何も入らない
任意継続被保険者になる
任意継続被保険者とは、退職前に2か月以上継続勤務(健康保険に加入)していた場合に、退職後も元の健康保険に加入し続けることができる制度。任意継続被保険者でいられる期間は最大2年間。
今まで企業が負担してくれていた分(半分)の保険料も本人が支払うため、保険料の支払額が最大で2倍になる。ただし、標準報酬月額28万円が上限となり、標準報酬月額56万円以上の方については保険料が今までよりも安くなる。健康保険の喪失(退職日翌日)から20日以内に手続きを行う必要がある。
保険証の発行には時間がかかり、次の職場での勤務を開始するまで届かないこともある。
- 2か月以上健康保険に加入
- 20日以内の手続き
- 2年間加入が可能
- 2倍の保険料
国民健康保険(国保)に加入する
国保では、月の末日に国保に加入していると保険料が発生する。退社月と同一の月に転職(入社)日がある場合、空白期間に国保に加入しても国保の保険料はかからない。
具体的には、8/15退社、8/26入社の場合で、8/16~8/25に国保に加入しても8/16~8/25まで国保の保険証が使用できる上に、保険料がかからないことになる。
退社日と入社日が月をまたぐと、国保の保険料の支払が発生する。
上記の例の場合だと、9/1以降の入社になると8月分の国保の保険料の支払が必要になる。
保険者は、国民健康保険事業に要する費用(前期高齢者納付金等及び後期高齢者支援金等並びに介護納付金の納付に要する費用を含み、健康保険法第百七十九条 に規定する組合にあつては、同法 の規定による日雇拠出金の納付に要する費用を含む。)に充てるため、世帯主又は組合員から保険料を徴収しなければならない。ただし、地方税法 の規定により国民健康保険税を課するときは、この限りでない。
2 前項の規定による保険料のうち、介護納付金の納付に要する費用に充てるための保険料は、介護保険法第九条第二号 に規定する被保険者である被保険者について賦課するものとする。
(国保法 第76条)
この章に規定するもののほか、賦課額、料率、納期、減額賦課その他保険料の賦課及び徴収等に関する事項は、政令で定める基準に従つて条例又は規約で定める。
(国保法 第81条)
国保の保険料を確認する方法
任意継続被保険者になるか国保に加入するかを保険料を確認してから考えたい場合、市区町村役所にて国保の保険料を確認することができる。
市民サービスセンターなどの出先機関がある場合は、そちらで確認できる場合もある。
配偶者の社会保険の扶養になる
配偶者や両親等が社会保険の被保険者であれば、空白期間が僅かあっても扶養になるのが保険料的にも保険証が使えることに関しても一番メリットがある方法。
保険証の発行には時間がかかり、次の職場での勤務を開始するまで届かないこともある。
何も入らない
医療機関を受診した際、10割負担になるリスクがある
転職までの期間を無保険で過ごすことになる。この場合、医療機関を受診することになったときに、10割負担での診療となることがある。
国保の手続は、原則として加入事由が発生したら14日以内に手続を行わなければならない。
このため、退職から14日以内に医療機関を受診した場合であれば、直ぐに国保加入手続きをすれば、手続きが遅れているということで、遡る形で医療保険が使え3割負担で済む。
しかし、退職から15日以上過ぎた後に医療機関を受診した場合には、法で定められた手続期限を過ぎているため医療保険を使うことができない。加入を遡ることができず10割負担になる。
参考
- 健康保険法
- 国民健康保険法
- Google:国民健康保険 条例 納付 義務
- 各条例の条文の「納付義務の発生、消滅又は被保険者数の異動等があった場合」
- 17条あたりから30条あたりに記載されていることが多い
- 各市区町村での条例なので、参考程度に
- 各条例の条文の「納付義務の発生、消滅又は被保険者数の異動等があった場合」
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