通勤災害
目次
通勤災害とは
通勤災害とは、労働者が通勤により受けた負傷、疾病、障害または死亡のこと。
業務の性質があるものを除く。
通勤とは
就業に関する下記の移動を、合理的な経路及び方法により行うこと。
- 住居と就業の場所との間の往復
- 就業の場所から他の就業の場所への移動
- 住居と就業の場所との間の往復に先行し、又は後続する住居間の移動
業務の性質があるもの
次のような場合は、自宅を出て職場に向かう途中も含めてすべて業務中となり、通勤途中に被災した場合でも通勤災害ではなく通常の労災扱いになる。
- 事業主が提供する通勤バス等を利用した場合
- 休日に、緊急用務のために突然呼び出された場合
休日に、鉄道の保線工夫が、自己の担当する鉄道沿線に突然事故があったため、使用者の呼出しを受けて自宅等から現場にかけつける途上は、業務遂行中である。
(昭和24.1.19 基収第3375号)
逸脱・中断は、通勤災害と認められない
次の場合は、共に通勤災害と認められない。
- 逸脱・中断中の災害
- 逸脱・中断後の災害
逸脱とは、通勤の途中で就業や通勤と関係ない目的で合理的な経路をそれること
中断とは、通勤の経路上で通勤と関係ない行為を行うこと
逸脱・中断の例外
次の場合は、逸脱・中断ではあるが、合理的な経路に戻った後は再び通勤として認められる。
逸脱・中断であるので、逸脱・中断中の災害は、通勤災害と認められない。
- 一 日用品の購入その他これに準ずる行為
- 二 職業訓練、学校教育法第一条 に規定する学校において行われる教育その他これらに準ずる教育訓練であつて職業能力の開発向上に資するものを受ける行為
- 三 選挙権の行使その他これに準ずる行為
- 四 病院又は診療所において診察又は治療を受けることその他これに準ずる行為
- 五 要介護状態にある配偶者、子、父母、配偶者の父母並びに同居し、かつ、扶養している孫、祖父母及び兄弟姉妹の介護(継続的に又は反復して行われるものに限る。)
労災保険法施行規則 第8条
ただし、当該逸脱又は中断が、日常生活上必要な行為であつて厚生労働省令で定めるものをやむを得ない事由により行うための最小限度のものである場合は、当該逸脱又は中断の間を除き、この限りでない。
労災保険法 第7条第3項
逸脱・中断にならないもの
次のようなささいな行為は、逸脱・中断とならず、通勤災害が認められる
- 経路近くの公衆便所を使用する場合
- 経路上の店でタバコやジュースを購入する場合
- 駅構内でソバ等を立食する場合
- 通勤経路の近くにある公園で短時間休憩する場合
- 電車の待ち時間にカフェに寄る
- 都市部以外で、電車の到着まで1時間あるなどの際にカフェ等に立ち寄る行為
逸脱・中断と通勤災害
行為 | 通勤災害と認定されるか | |
---|---|---|
行為中 | 行為後 (合理的経路に復帰) |
|
逸脱または中断に該当 | × | × |
逸脱または中断に該当(日常生活上必要な行為だが、省令に非該当) | × | × |
逸脱または中断に該当(日常生活上必要な行為で省令に該当) | × | ○ |
逸脱または中断に当たらない(ささいな行為) | ○ | ○ |
通勤災害の事例
保育園の送迎にかかる通勤災害
- 労災(通勤災害)が適用される。
- 保育園の送迎に関しては、労災保険法上の通勤に関する「合理的な経路」に含まれるため。
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