106万円の壁に通勤手当は含まない?
- 2018.05.16
- 社会保険・労働保険手続
- 法改正
106万円の壁
平成28年10月より、社会保険の加入条件が拡大されました。
具体的には、次の要件すべを満たす場合、社会保険に加入する必要があります。
- 1週間の所定労働時間が20時間以上
- 月額賃金8.8万円以上
- 1年以上継続して雇用される見込みがある
- 学生でない
- 従業員501人以上の企業
2の月額賃金8.8万円を年額に換算すると106万円となることから、106万円の壁と呼ばれています。ただし、実際の加入要件は年額ではなく月額の8.8万円で判断するので、106万円の壁というとちょっと違ってしまいます。
106万円の壁(月額賃金8.8万円)の中に通勤手当を含めない
8.8万円の計算をするに当たり、次のものを除いて計算します。
- 臨時に支払われる賃金(結婚手当等)
- 1月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与等)
- 時間外、休日及び深夜労働に対して支払われる賃金(割増賃金等)
- 最低賃金法において算入しないことを定める賃金(精皆勤手当、通勤手当及び家族手当)
社会保険の報酬を計算する際には通勤手当も含みますが、加入要件の8.8万円円を計算する際には通勤手当を除いて算出します。
(適用除外)
第十二条 次の各号のいずれかに該当する者は、第九条及び第十条第一項の規定にかかわらず、厚生年金保険の被保険者としない。
一~四 (略)。
五 事業所に使用される者であつて、その一週間の所定労働時間が同一の事業所に使用される短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律(平成五年法律第七十六号)第二条に規定する通常の労働者(以下この号において「通常の労働者」という。)の一週間の所定労働時間の四分の三未満である同条に規定する短時間労働者(以下この号において「短時間労働者」という。)又はその一月間の所定労働日数が同一の事業所に使用される通常の労働者の一月間の所定労働日数の四分の三未満である短時間労働者に該当し、かつ、イからニまでのいずれかの要件に該当するもの
イ (略)
ロ (略)
ハ 報酬(最低賃金法(昭和三十四年法律第百三十七号)第四条第三項各号に掲げる賃金に相当するものとして厚生労働省令で定めるものを除く。)について、厚生労働省令で定めるところにより、第二十二条第一項の規定の例により算定した額が、八万八千円未満であること。
ニ (略)(厚生年金保険法 第12条)
第四条 (略)
2 (略)
3 次に掲げる賃金は、前二項に規定する賃金に算入しない。
一 一月をこえない期間ごとに支払われる賃金以外の賃金で厚生労働省令で定めるもの
二 通常の労働時間又は労働日の賃金以外の賃金で厚生労働省令で定めるもの
三 当該最低賃金において算入しないことを定める賃金(最低賃金法 第4条 第3項)
標準報酬月額の決定には交通費等を含める
本来、社会保険料の算出に使う標準報酬月額を決定する際には、割増賃金、精皆勤手当、通勤手当、家族手当を含める必要がありますが、社会保険への加入条件として計算する場合はこれらの手当を含めなくても良いことになります。
面倒な事態が発生
気づきましたか?ここで、面倒なことが発生するのです。
106万円の壁(月額賃金8.8万円)で社会保険への加入の判断には交通費や残業代等入れないのですが、社会保険加入の手続きとなり標準報酬月額を算出する際には割増賃金や通勤費なども入れないといけないということです。
参考
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