不利益変更

 

労働条件を、変更前の労働条件と比べ、労働者にとって不利益な条件のものに変更すること。

労働条件の変更

  1. 労使間の合意による変更
  2. 労使間の合意以外による変更
    1. 就業規則等による変更
    2. 人事上の評価・査定による変更

労働条件の変更は労働者の同意が必要

原則として、労働者の同意がない場合、労働条件を一方的に変更する事はできない。
労働者が労働条件の変更に同意していれば、労使の合意に基づいた労働条件に変更される。

労働者及び使用者は、その合意により、労働契約の内容である労働条件を変更することができる。
(労契法 第8条)

当然の事ながら、合意があっても、労働条件の変更の際は、労基法などの法令に違反したり、就業規則の定めよりも労働者に不利な労働条件を定めたりしてはならない。

労使間の合意以外での労働条件の変更

労働条件の変更は、原則として労使間の合意だが、労使間の合意がない場合でも労働条件を変更することが認められている。

労使間の合意ではない労働条件の変更として、次のようなものがあり、一定の要件を満たした場合に労働条件の変更が認められている。

  • 就業規則又は労働協約によって労働条件を変更する場合
    • 変更後の就業規則に合理性があり、かつ変更後の就業規則が労働者に周知されていることなど
  • 使用者が労働条件を変更する権限を有することが労働契約に定められている場合
    • 人事上の評価・査定の結果による賃金の変更等

労働条件不利益変更

労使間での合意による労働条件の変更でない場合には、労働条件の不利益な変更はできない。

ただし、次の要件を満たす場合には、合意によらない労働条件不利益変更が認められている。

  1. 変更後の就業規則の周知
  2. 労働条件が不利益になる内容が合理的

使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできない。ただし、次条の場合は、この限りでない。
(労契法 第9条)

使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合において、変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるときは、労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則に定めるところによるものとする。ただし、労働契約において、労働者及び使用者が就業規則の変更によっては変更されない労働条件として合意していた部分については、第十二条に該当する場合を除き、この限りでない。
(労契法 第10条)

労働条件不利益変更に合理的理由がある場合

労働条件不利益変更に合理的理由がある場合には、従業員の同意がなくても変更後の就業規則の適用が認められる。

次のような内容を考慮して、合理的理由の判断が行われる。

  • 従業員が受ける不利益の程度
  • 労働条件変更の必要性
  • 変更後の就業規則の内容の相当性
  • 労働条件不利益変更に対する代償措置や労働条件の改善等の実施状況
  • 労働組合との交渉の経緯、他の労働組合または他の従業員への対応
  • 社会における一般的状況等

契約社員の労働条件の変更

契約社員の場合、契約更新ごとに契約内容の見直しをする事が認められている。
ただし、労働者の不利益となるような労働条件へ変更する場合には、次のような対応が必要になる。

  1. 合理的な理由の説明
  2. 労働者一人ひとりの同意を得る事

人事評価による賃金の引き下げは可能。

次の要件を満たす場合には、人事評価による賃金の引き下げが可能。

  1. 事前に賃金引下げについて制度化されている
  2. 制度の内容が周知されている

上記要件を満たさない場合は、労働条件不利益変更になる。

労働条件不利益変更に対する行政機関等の対応

労働基準法違反の事案ではないため、労基署や労働局では、次のような対応をされる。

  • 労働相談を受けるのみ
  • 個別労働紛争解決促進法に基づくあっせんを勧める。

あっせんでは相手方に拒否権があるため、司法の場である労働審判も検討することになる。

労働組合による団体交渉の事案としては適している。

参照

  • 労働契約法