入社月の退職(同月得喪)時の社会保険料

同月得喪

被保険者資格を取得した月にその資格を喪失すること。入社した月に退社するケースがイメージしやすい。

同月得喪の場合、たとえ被保険者期間が1日しかない場合でも、1か月分の社会保険料の納付が必要。

  • 4/1入社 4/15退社 → 4月分の保険料の納付が必要

本来は、月末での退社でない場合には、4月分の社会保険料はかからない。

  • 4/15退社 → 4月分の保険料は不要(5月支払の給与で社会保険料を控除しない)
  • 4/30退社 → 4月分の保険料の納付が必要(5月支払の給与で社会保険料を控除する)

保険料を控除する際の注意点

社会保険料率が変更になる月(給与での控除額の変更は翌月給与)にあった同月得喪では、社会保険料の控除額に注意が必要。

例えば、厚生年金保険料率が変更となる9月(給与での控除は10月)の同月得喪の場合、9月支払給与にて、10月に控除される額で社会保険料を控除する。

  • 9/1入社 9/15退社 9/25支払給与の場合
    • 9/25支払給与にて、9月分の保険料(本来10/25支払給与にて控除する額)を控除する。

同月得喪時の厚生年金保険料の納付が不要な場合

H27.10からルールが変更になり、被保険者資格の喪失月に下記被保険者資格を取得すると、厚生年金保険料及び子ども・子育て拠出金の納付が不要

  1. 国民年金の1号被保険者
  2. 厚生年金保険被保険者
    1. 再就職等
  • 健康保険料は、今までどおり納付が必要

1.の「国民年金の1号被保険者になる」の場合、厚生年金保険の喪失者が出国する場合や、60歳以上の場合には徴収が必要になる。
2.の「厚生年金の被保険者になる」(一般的には再就職)の場合、事前の把握が困難な事と、把握ができたとしても、実際に厚生年金被保険者になるか不確実。

多くの場合、上記「1」「2」のどちらかに該当するため、徴収が不要になる可能性が高い。
しかし、保険料を本人から徴収しない場合で、いざ徴収が必要となった時には、本人から保険料を徴収するのは困難。
保険料を徴収し、要件に該当した場合に、後日返金という方法がベター。

被保険者期間を計算する場合には、月によるものとし、被保険者の資格を取得した月からその資格を喪失した月の前月までをこれに算入する。
2  被保険者の資格を取得した月にその資格を喪失したときは、その月を一箇月として被保険者期間に算入する。ただし、その月に更に被保険者又は国民年金の被保険者(国民年金法第七条第一項第二号 に規定する第二号 被保険者を除く。)の資格を取得したときは、この限りでない。
3  被保険者の資格を喪失した後、更にその資格を取得した者については、前後の被保険者期間を合算する。
4  前三項の規定は、被保険者の種別ごとに適用する。
5  同一の月において被保険者の種別に変更があつたときは、前項の規定により適用するものとされた第二項の規定にかかわらず、その月は変更後の被保険者の種 別の被保険者であつた月(二回以上にわたり被保険者の種別に変更があつたときは、最後の被保険者の種別の被保険者であつた月)とみなす。
(厚年法 第19条)

納付した分の保険料が還付される

従業員が退職し、国民年金の1号被保険者または厚生年金保険被保険者になると、同月得喪で納付した保険料が返金される。
返金されるのは、

  • 厚生年金保険料
  • 子ども・子育て拠出金

4/1入社 4/15退社 4月分徴収 ←この分が返金される

還付方法

事業主への還付

年金機構から次のような文書が送付される。

  • 「同月中に被保険者資格を取得・喪失された被保険者に関するお知らせ」
  • 「厚生年金保険料等の調整に関するお知らせ」

還付手続きを行うことで、保険料が還付(納付時に調整)される。

同月得喪 お知らせ 同月得喪 保険料の調整還付について

対象者への返金

対象者への本人負担分の保険料の返金は、事業主が行う。
対象者から保険料を徴収したのは会社であるため、会社から対象者へ返金という形になる。

参考

 

すぐに忘れてしまうので、こちらにも新しく書きました。同月得喪の社会保険料