従業員が入社したときの手続

従業員が入社したときの手続は2つ

従業員が入社したときは、社会保険と雇用保険に加入する2つの手続きを行います。

  • 1.雇用保険の加入手続き
  • 2.社会保険(健康保険・厚生年金保険)の加入手続き

労働時間や日数が増えて社会保険や雇用保険に加入すべき条件該当したときも入社と同じ手続が発生します。

1.雇用保険の資格取得手続き

従業員が入社した時の1つ目の手続として、雇用保険の加入手続きを行います。

雇用保険被の加入手続きでは、雇用保険被保険者資格取得届をハローワークに提出して行います。
提出期限は、雇用した日の属する月の翌月10日までです。

入社だけでなく、パート・アルバイトの労働時間が増えて雇用保険に加入すべき条件に該当したときも、この雇用保険の加入手続を行います。

雇用保険の加入条件

雇用保険に加入できる人(加入しなければならない人)には条件があります。
次の両方を満たす場合には、雇用保険に加入することになります。

  • 1週間の所定労働時間が20時間以上
  • 雇用見込み期間が31日以上ある

1週間の所定労働時間が20時間以上ですので、パート・アルバイトであっても要件を満たせば雇用保険への加入が必要です。

ただし、役員は原則として加入できません。また、昼間学生も原則として加入できません。

手続に必要な情報

雇用保険の手続に必要な情報は

  • 氏名
  • ふりがな
  • 生年月日
  • 雇用保険被保険者番号

手続完了後

雇用保険の資格取得手続きが完了すると、次の書類が発行されます。

  • 雇用保険被保険者資格取得等確認通知書(事業主通知用、被保険者通知用)
  • 雇用保険被保険者資格喪失届氏名変更届
  • 雇用保険被保険者証

これら書類は、ハローワークの窓口で手続をした場合には、その場で発行されます。
それぞれの書類については、次のように取扱います。

  • 資格取得等確認通知書の事業主通知用 → 会社で保管
  • 資格喪失届指名変更届 → 会社で保管。今後の手続きで使用する
  • 雇用保険被保険者証 → 従業員に渡す

雇用保険被保険者番号

雇用保険被保険者番号は一人1つ

複数の会社で働いていても、加入できる雇用保険は1つです。
そのため、既に雇用保険に加入している人に対して資格取得手続きを行うと、既に加入中であるため雇用保険への加入手続きができないことをハローワークから伝えられることがあります。

例えば、転職者が前職場において雇用保険の資格喪失手続きが完了していない場合などに起こります。

雇用保険では1人1つの番号(雇用保険被保険者番号)を持ち、1人で複数の番号を持てません。複数の被保険者番号を持っている場合には、番号の統合が行われます。

資格喪失から7年を経過した雇用保険被保険者番号

雇用保険の資格喪失から7年を経過している場合は、雇用保険への新規加入扱いになります。つまり雇用保険被保険者番号の取り直しとなります。


2.健康保険厚生年金保険資格取得手続き

雇用保険の資格取得手続きのほかに、社会保険の資格取得手続きを行います。

社会保険の加入手続きでは、「健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届」を年金事務所(または事務センター)に提出することにより、社会保険に加入することになります。

提出期限は、資格取得の日から5日以内です。

社会保険には、健康保険と厚生年金保険がありますが、基本的には1回の手続(1枚の届出書)で両方の保険に加入する手続を済ませることができます。

健康保険は75歳未満、厚生年金保険は70歳未満までの加入になります。
加入する従業員の年齢が40歳以上65歳未満の場合には、自動的に介護保険の第2号被保険者にもなります。

入社だけでなく、パート・アルバイトの労働時間や労働日数が増えて社会保険に加入すべき条件に該当したときも、この社会保険の加入手続を行います。

取得届に添付するもの

次のような場合には、届出書に合わせて、書類を提出することになります。

  • 扶養家族がいる場合:健康保険被扶養者異動届
  • 20歳以上60歳未満の配偶者を扶養する場合:健康保険被扶養者異動届と国民年金第3号被保険者該当種別変更届
  • 年金手帳の再交付を行う場合:年金手帳再交付申請書

扶養家族がいる場合

扶養家族がいる場合には、「健康保険被扶養者異動届」を資格取得届と同時に提出します。

20歳以上60歳未満の配偶者を扶養する場合

扶養家族の中でも、20歳以上60歳未満の配偶者を扶養する場合には、「国民年金第3号被保険者該当(種別変更)届」を提出することになります。

3枚複写である「健康保険被扶養者異動届」の3枚目が、「国民年金第3号被保険者該当(種別変更)届」になっています。

社会保険の加入手続き上の注意点

パート・アルバイトでも条件を満たせば社会保険へ加入

パート・アルバイトであっても、次の2つを両方とも満たす場合には社会保険への加入が必要になります。

  • 1.労働日数、1か月の所定労働日数が正社員の4分の3以上
  • 2.労働時間、1週間の所定労働時間が正社員の4分の3以上
従業員が501人以上の企業の場合には、社会保険に加入する要件がもう1つ

従業員501人以上の企業の場合には、上記の条件に加えて、次の1から4全てに該当する場合にも社会保険に加入する義務があります。

  • 1.1週間の所定労働時間が20時間以上
  • 2.賃金が月額88,000円以上
  • 3.勤務期間が1年以上
  • 4.学生ではないこと

年金手帳と基礎年金番号について

日本に住民票のある20歳以上の人は、原則として国民年金加入しており、基礎年金番号が記載された年金手帳を持っています。この年金手帳で基礎年金番号を確認し、資格取得届に記入します。
基礎年金番号を確認した後は年金手帳は従業員に返却します。

年金手帳もなく、基礎年金番号も不明な場合

従業員が年金手帳を持っておらず、基礎年金番号がわからない場合には、免許証等で本人確認と本人の住所を確認した上で年金手帳の再交付を行います。
年金手帳の再交付には、「年金手帳再交付申請書」を提出します。

入社時の手続では、「資格取得届」に「年金手帳再交付申請書」を添付して提出します。

住民票上の住所以外に郵便物が届く住所がある場合

原則として、「資格取得届」には住民票上の住所を記入することになります。

しかし、住民票上の住所以外に住んでいるなど、住民票上の住所以外に郵便物が届く住所がある場合には、郵便物が届く住所を住所欄に記入し、備考欄に住民票上の住所をします。

手続完了後

年金機構から

社会保険の取得手続きが完了すると、標準報酬月額が決定され、健康保険・厚生年金保険標準報酬月額決定通知書が会社に送付されてきます。
この通知書により標準報酬月額を確認することができ、従業員の毎月の給与から控除する社会保険料額を把握することができます。
通知書は会社の控えとして保管をしておきます。

健康保険協会から

健康保険協会からは、健康保険被保険者証(いわゆる保険証)が発行され会社に送られてきます

こちらは被扶養者の分も忘れずに従業員に渡しましょう。