傷病手当金
- 2016.08.16
- 社会保険・労働保険手続
傷病手当金を受給している被保険者が退職後も労務不能である場合、退職後も継続して傷病手当金が受給できる場合がある
資格を喪失する日の前日までに継続して1年以上被保険者であった人は、資格を喪失した際に現に受けていた傷病手当金及び出産手当金を引き続き受けることができます。
要件は、次の3つ
- 退職時に社会保険加入期間が引き続き1年以上あること
- 退職日に傷病手当金を受給しているまたは受ける条件を満たしていること
- 退職日に労務不能である事
社会保険加入期間が引き続き1年以上あること
- 現在の会社だけでなく、以前の会社の分も通算できる。
- 通算できるのは、同一の保健者のもののみ。
- × (前)健保組合 + (今)けんぽ協会
- ○ (前)けんぽ協会 + (今)けんぽ協会
- 途中、1日でも期間が開いた場合は、要件を満たさない
退職日に傷病手当金を受給しているまたは受ける条件を満たしていることとは
具体的には、次の「1」、「2」を満たす場合
- 退職日より前に労務不能のために3日以上連続して休んでいる
- 退職日当日に労務不能のために仕事を休んでいる
退職日に労務不能であること
退職日に出勤した場合には、退職後の傷病手当金はもらえない。短時間の出勤でもダメ。
退職日には、次のどれかかである必要がある。
- 欠勤
- 有給休暇
- 公休
退職前4日までに労務不能になっている必要がある
傷病手当金を受給するためには次の要件があるため、資格喪失後の傷病手当金を受給するためには、退職日を含め4日前には労務不能になっている必要がある
- 待機期間(労務不能)が連続3日必要
- 4日目の労務不能から支給
役員の傷病手当金
傷病手当金は役員でも受給できる
法人の役員も健康保険の被保険者であるため、従業員と同様に傷病手当金をもらう権利がある
通常、役員の場合には役員報酬が支払われており、役員報酬の額は変動しない。
このままでは、傷病手当金の支給要件である「報酬が支払われなかった」ことに該当しない。
そのため、「出社しなかった場合には、役員報酬の一部を減額、又は全額を不支給とする」という内容を取締役会の議事録に記載し、その議事録を添付する。
業務上の傷病でも傷病手当金が貰える(被保険者5人未満の場合のみ)
健康保険被保険者が5人未満の事業所の場合、平成25年10月1日以降に発生した事故に起因する業務上の事由による負傷等について、法人役員の場合で労災保険の給付が受けられない場合には、傷病手当金も含めて健康保険を使うことが可能。
- 業務上の傷病でも
- 病院で健康保険の保険証が使える
- 傷病手当金が貰える
(法人の役員である被保険者又はその被扶養者に係る保険給付の特例)
第53条の2 被保険者又はその被扶養者が法人の役員(業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者をいい、相談役、顧問その他いかなる名称を有する者であるかを問わず、法人に対し業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者と同等以上の支配力を有するものと認められる者を含む。以下この条において同じ。)であるときは、当該被保険者又はその被扶養者のその法人の役員としての業務(被保険者の数が5人未満である適用事業所に使用される法人の役員としての業務であって厚生労働省令で定めるものを除く。)に起因する疾病、負傷又は死亡に関して保険給付は、行わない。
(健康保険法 第53条の2)
労災保険の給付が受けられない場合
法人役員が労災保険の給付を受けられないのは次のようなとき。
下記の「2」の場合は、特に問題なく、普通に健康保険が使える
- 労災保険の特別加入者となっていない
- 労災保険の特別加入者となっているが、傷病と業務との関連性が認められない
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