賃金の締め日・支払日の変更

変更の際に注意すること

給与支払日を後ろに伸ばすと労働条件不利益変更になる

例 (従前) 25日支払 → (変更後) 月末支払

給与支払の遅れが発生し、労働条件不利益変更になる
従業員の生活設計に支障をきたす恐れがある(ローンの返済日程等)

賃金支払の5原則に注意する

賃金支払の5原則の中で、特に、毎月1回払いを注意する必要がある
賃金は、毎月1回以上、支払わなければならない。(労基法第24条)

例 (従前) 25日支払 → (変更後) 翌月1日支払
支払月が変更され、1月支払われない月が発生する。

変更月の支給額が減らないように配慮する

従業員に負担をかけずに変更するために

従業員に負担をかけずに変更するために、次のような方法を検討する。

  • 従業員の生活設計に支障をきたすことが無いように配慮する
    • 数か月間にわけて締め日の変更を行い、極端に給与が少なくなる月をなくす。
    • 賞与の支給時期に合わせて変更を行う。
    • 変更するまでの予告期間を長めにし、社員に一定の備えをしておいてもらう
    • 短期で無利子での貸付を行うことも検討する
  • 固定的な給与は従前の締め日のまま(締め日の変更をしない)にして、残業などの変動する給与の締め日だけを変更する。
  • 既存の従業員の締め日は変更せず、今後採用する従業員の締め日を変更する。

給与計算の日数に余裕を持たせたい場合

支払日は変更せず、締め日を前に移動することで、締め日と支払日の間隔を広げる
例 毎月20日締め25日払いを毎月15日締めにする。

社会保険・雇用保険の手続き上の注意点

4~6月の変更を避ける

社会保険の算定基礎月であるため、締め日・支払日を変更すると事務処理手続きが煩雑になるので、
4~6月での変更はなるべく避けた方が良い。

雇用保険の離職証明書の記載時の注意点

離職証明書の賃金支払対象期間の欄への記入に関して、

  • 締め日の変更によって賃金計算期間が短くなった期間を記入
  • 備考欄に「賃金締切日 変更」と記入。

その他 やること

就業規則の変更を行う

賃金の支払日は、就業規則の絶対的必要記載事項となっているため
新しい給与支払日について規定(変更)する必要がある。