最低賃金のチェック方法と2018年の最低賃金

最低賃金のチェック方法

基本は時間額に換算してチェックします。

日額と時間額で定められている最低賃金がある場合には、日給制の労働者だけ日額でチェックし、その他の支払体系(時間給・日給月給・月給など)の労働者は時間額でチェックします。

すべての地域別最低賃金と大部分の特定(産業別)最低賃金については、時間額で定められていますが、一部の特定(産業別)最低賃金は、従前どおり、日額と時間額の両方で定められています。日額と時間額の両方が定められている特定(産業別)最低賃金については、日額は日給制の労働者に、時間額は日給制以外の時間給制・月給制などの労働者にそれぞれ適用されます。

計算式

時間給の場合

時間給 ≧ 最低賃金額

日給の場合

日給 ÷ 1日の所定労働時間 ≧ 最低賃金額

日額で定められている最低賃金がある場合には、
日給 ≧ 最低賃金額(日額)

月給・日給月給の場合

月給 ÷ 1か月平均所定労働時間 ≧ 最低賃金額

月給 × 12 ÷ 年間総所定労働時間 ≧ 最低賃金額

の方が分かりやすいかもしれませんね。

最低賃金の対象となる賃金

最低賃金の対象となる賃金は、「毎月支払われる賃金 - 最低賃金の対象とならない賃金」です。毎月支払われる賃金なので、賞与は含まれません。

最低賃金の対象とならない賃金

対象とならない賃金は、次のとおりです。この分を差し引いた金額を用いて最低賃金を上回っているか計算します。

  1. 臨時に支払われる賃金(結婚手当など)
  2. 1か月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
  3. 所定労働時間を超える時間の労働に対して支払われる賃金(時間外割増賃金など)
  4. 所定労働日以外の労働に対して支払われる賃金(休日労働割増賃金など)
  5. 午後10時から午前5時までの間の労働に対して支払われる賃金のうち、通常の労働時間の賃金の計算額を超える部分(深夜労働割増賃金など)
  6. 精皆勤手当
  7. 通勤手当
  8. 家族手当

ただし、手当の名称で対象かどうかを判断するのではなく、手当の内容で判断します。

勤怠に関係して変動する手当

特に実務では、精皆勤手当や家族手当が、最低賃金の対象かどうか分からなくなってしまうことが多いです。

精勤手当が勤怠に関係して変動するものではなく、毎月必ず支払われるものであれば、最低賃金の対象となります。

同様に業務手当、職務手当、生産手当などという名称であっても、勤怠に関連して変動するものである場合には、最低賃金の対象ではなくなります。

つまり、手当が勤怠に関連して変動するものである場合には、これらの手当を除いて最低賃金以上になっているのか計算する必要があります。

固定残業代

また、定額残業代や固定残業代など残業代を固定的に支払っている賃金については、「所定労働時間をこえる時間の労働に対して支払われる賃金」であるため、最低賃金の対象から外して計算します。

2つの最低賃金

最低賃金には2種類あります。

地域別最低賃金と、特定(産業別)最低賃金です。

地域別最低賃金は、各都道府県に1つずつ定められています。

特定(産業別)最低賃金は、特定の産業に従事する労働者を対象に定められています。

地域別最低賃金よりも特定(産業別)最低賃金の方が高い金額になっています。

よく話題になる最低賃金は地域別最低賃金であることが多いのですが、特定(産業別)最低賃金にも注意を払う必要があります。

最低賃金の発行時期

毎年10/1頃発行されます。

最低賃金の額

前年より24円以上の上昇

H30年の最低賃金は、前年と比べて24円~27円上昇しました。

すごい上げ幅で驚いている経営者もいらっしゃいますが、政府の方針が

全国加重平均が1000円になることを目指す

とのことで、H30年の最低賃金の全国加重平均が874円であることから考えると、今後数年間は同様の上昇があると想定しておくのが良さそうです。

H30年(2018年)の最低賃金と前年との差額

全国の最低賃金と前年との差額一覧は次のとおりです。

大都市を抱える都道府県では軒並み27円の引き上げになっています。

H30年

H29年

差額

北海道

835

810

25

青  森

762

738

24

岩  手

762

738

24

宮  城

798

772

26

秋  田

762

738

24

山  形

763

739

24

福  島

772

748

24

茨  城

822

796

26

栃  木

826

800

26

群  馬

809

783

26

埼  玉

898

871

27

千  葉

895

868

27

東  京

985

958

27

神奈川

983

956

27

新  潟

803

778

25

富  山

821

795

26

石  川

806

781

25

福  井

803

778

25

山  梨

810

784

26

長  野

821

795

26

岐  阜

825

800

25

静  岡

858

832

26

愛  知

898

871

27

三  重

846

820

26

滋  賀

839

813

26

京  都

882

856

26

大  阪

936

909

27

兵  庫

871

844

27

奈  良

811

786

25

和歌山

803

777

26

鳥  取

762

738

24

島  根

764

740

24

岡  山

807

781

26

広  島

844

818

26

山  口

802

777

25

徳  島

766

740

26

香  川

792

766

26

愛  媛

764

739

25

高  知

762

737

25

福  岡

814

789

25

佐  賀

762

737

25

長  崎

762

737

25

熊  本

762

737

25

大  分

762

737

25

宮  崎

762

737

25

鹿児島

761

737

24

沖  縄

762

737

25

加重平均

874

848

26

なんとなく不思議だなと思ったことは、札幌市のある北海道や政令都市を2つ(福岡市と北九州市)もかかえる福岡県の最低賃金が、他の大都市を抱える都道府県よりも低くなっていることです。北海道内や福岡県内の平均をとってのことでしょうか。

それぞれの周辺の県、青森・岩手、山口・佐賀・大分と比較すると、北海道と福岡県も高額になっていますね。

参考

こちらの最低賃金の記事にも書いたのですが、チェック方法が時々分からなくなってしまうので、最低賃金が変わるこの機会に再度書いてみました。

参考にしたサイトは下記のとおりです。

地域別最低賃金の全国一覧 | 厚生労働省

最低賃金制度