派遣労働者の労務
派遣労働者が年次有給休暇を使用した場合、派遣料金は発生するのか
派遣元(派遣会社)と派遣先での契約内容による
派遣元との労働者派遣契約に、「派遣労働者が年次有給休暇を使用した日について派遣料金を支払う」旨が記載されていれば支払う必要があるし、記載が無ければ支払は不要となる。
派遣料金と派遣労働者への賃金
派遣先は、労働者派遣の役務の提供をを受けることで派遣料金が発生する。
派遣労働者が年次有給休暇を使用した日は、労働者派遣の役務の提供を受けていないため、派遣料金の支払いは不要。
派遣料金には、派遣労働者への賃金の他に、年次有給休暇使用時の賃金や会社負担分の社会保険料などを含めた料金設定をしている。
労働者派遣契約で取決めがない場合には、労働者派遣の役務の提供が日にまで派遣料金の請求をすることはできない。
派遣労働者が年次有給休暇を使用した際の派遣料金を派遣先が支払うか支払わないかにかかわらず、派遣労働者が年次有給休暇を使用したことによる「派遣労働者への賃金」は派遣元が派遣社員に支払う義務がある。
派遣労働者にフレックスタイム制を適用できるか
フレックスタイム制を適用できる。
派遣労働者を派遣先においてフレックスタイム制で労働させることに、法律上の制限はない。
年少者は適用不可
派遣労働者がフレックスタイム制を利用するためには
派遣元で、就業規則への規定と、労使協定の締結が必要となる
- 派遣元の就業規則その他これに準ずるものに、「始業および終業の時刻を労働者の決定に委ねる」旨を規定する
- 派遣元において労使協定を締結し、次の事項について協定する
- 対象となる労働者の範囲
- 清算期間とその起算日
- 清算期間:1か月以内
- 清算期間中の総労働時間
- 総労働時間:平均して週所定労働時間以下になるように定める
- 標準となる1日の労働時間の長さ
- コアタイム、フレキシブルタイムを設ける場合は、その開始時刻と終了時刻
また、「派遣労働者が派遣先でフレックスタイム制を利用する」旨を定めておく
- 労働者派遣基本契約書
- 派遣元、派遣先間での契約書
- 就業条件明示書
- 派遣元使用者から派遣労働者へ労働条件を明示する書類
派遣労働者に時間外労働・休日労働させるには
派遣元で「36協定」の締結・届出を行わなければならない。
通常、労働時間、休憩、休日に関しては、派遣先が使用者としての責任を負うことになるが、枠組みとなる「36協定」の締結・届出に関しては派遣元使用者が責任を負うことになる。
逆に、派遣先で締結・届出されている36協定は、派遣労働者に適用されない。
派遣元で「36協定」が締結・届出されていない場合は、派遣先で「36協定」の締結・届出がなされていても、派遣先において時間外労働・休日労働をさせる事はできない。
このため、派遣元の「36協定」を確認しておく必要がある。
「36協定」に違反した場合は、派遣先も処罰の対象となる
派遣元で締結・届出された「36協定」の時間を超えて使用した場合、派遣先も使用者とみなされ処罰の対象になる。
派遣先 | 労働時間・休憩・休日の管理 |
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派遣元 | 36協定の締結・届出 |
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