労務管理の法定3帳簿
法定3帳簿
企業が人を雇った場合に整備することが義務付けられている帳簿のことで、具体的には次の3つ。
- 労働者名簿(労基法 第107条、労基法施行規則 第53条)
- 賃金台帳(労基法 第108条、労基法施行規則 第54条)
- 出勤簿
日雇労働者については、労働者名簿は不要
- 労働者名簿の作成は不要
- 賃金台帳の作成は必要
労働者名簿と賃金台帳は、併せて作成しても良い
使用者は、第五十三条による労働者名簿及び第五十五条による賃金台帳をあわせて調製することができる。(労基法施行規則 第55条)
法定3帳簿の保存
帳簿の保存期間は3年
3帳簿の保存期間は、どれも3年だが、起算日が異なるので注意。
起算日の考え方は、「最後の日」
- 労働者名簿: 労働者の死亡、退職又は解雇の日
- 労働者が最後に在籍した日
- 賃金台帳: 最後の記入をした日
使用者は、労働者名簿、賃金台帳及び雇入、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類を三年間保存しなければならない。
(労基法 第109条)
法第百九条 の規定による記録を保存すべき期間の計算についての起算日は次のとおりとする。
一 労働者名簿については、労働者の死亡、退職又は解雇の日
二 賃金台帳については、最後の記入をした日
三 雇入れ又は退職に関する書類については、労働者の退職又は死亡の日
四 災害補償に関する書類については、災害補償を終つた日
五 賃金その他労働関係に関する重要な書類については、その完結の日
(労基法施行規則 第56条)
帳簿の保存形態
法定3帳簿については、紙での保存の他に、電子データでの保存が認められている。
労働者名簿及び賃金台帳については、その調製について定めた労働基準法第107条及び第108条の解釈に関して、平成7年3月10日付け基収第94号通達によって、ー定の条件を満たす場合には、磁気ディスク等によって調製することが認められているところであり、第109条による保存についても、同通達の条件を満たす場合には保存義務を満たすものであること。
(H8.6.27 基発 第411号)
帳簿の電子データでの保存方法と取扱い
保存方法は、2通り。
- WordやExcel、その他パソコンソフトなどで作成したファイルを、パソコンのハードディスクやCD-Rなどの磁気ディスクで保存する
- 紙で作成された書面をスキャナ等で読み込み、画像データなどの電子データとして保存する
要件
- 法令で定められた記載事項が書かれている。且つ、その画面表示、及び、印刷が可能であること。
- 各事業場ごとに、画面での表示および印字が可能である。
- 労基署の臨検時等の際に、直ぐに必要事項が明らかにでき、写しを提出可能なシステムである。
- 故意又は過失による消去、書換え及び混同ができないこと。
- 長期にわたって保存が可能である。
- 正確に復元できること。
次の1及び2のいずれをも満たす場合には、労働基準法第107条及び第108条の要件を満たすものとして取り扱う。
- 電子機器を用いて磁気ディスク、磁気テープ、光ディスク等により調製された労働者名簿、賃金台帳に法定必要記載事項を具備し、かつ、各事業場ごとにそれぞれ労働者名簿、賃金台帳を画面に表示し、及び印字するための装置を備えつける等の措置を講ずること。
- 労働基準監督官の臨検時等労働者名簿、貸金台帳の閲覧、提出等が必要とされる場合に、直ちに必要事項が明らかにされ、かつ、写しを提出し得るシステムとなっていること。
(H7.2.28 東基発 第101号)
-
前の記事
マイナンバー 2016.08.16
-
次の記事
労働者名簿への記載事項 2016.09.09