人事労務関係の基本的な手続き一覧
人事労務関係の基本的な手続き一覧
人事労務関係の手続きは、主に次のようなものがあります。
- 従業員が入社したとき
- 従業員が退社したとき
- 従業員が家族を扶養したとき
- 被保険者証を紛失したとき
- 従業員が妊娠や出産をしたとき
- 業務外での病気・けが、死亡
- 固定給が変更になったとき
- 賞与を支払ったとき
- 社会保険料の算定
- 労働保険の年度更新
- 時間外労働や休日労働をさせるとき
従業員が入社したとき
従業員が入社したときには、雇用保険と社会保険の加入(取得)手続きが必要になります。
- 雇用保険の加入
- 社会保険の加入
雇用保険の加入
雇用保険の加入(取得)手続きは、管轄のハローワーク、労働保険事務組合に加入の場合には、労働保険事務組合に届出を出します。
労働保険事務組合では、ハローワークと異なる書式により手続きを行っている場合もあります。
社会保険の加入
社会保険の加入手続きは、事業所の所在地を管轄する日本年金機構の事務センター、または年金事務所に提出して行います。
家族が健康保険の扶養になる場合には、扶養異動届も一緒に提出します。
健康保険組合に加入している場合には、加入している健康保険組合によっては提出先が異なることがあります。
健康保険関係の加入手続きの書類は健康保険組合、年金関係の加入手続きの書類は年金機構へと提出先が分かれることがあります。
従業員が退社したとき
従業員が退職したときには、入社したときと反対に、雇用保険と社会保険の脱退(喪失)の手続きが必要になります。
- 雇用保険の脱退
- 社会保険の脱退
雇用保険の脱退
雇用保険を脱退(喪失)するときには、管轄のハローワーク、労働保険事務組合に加入の場合には、労働保険事務組合に届出を出します。
ハローワークのサイトにはあまり詳しく書いてないのですが、提出書類は次の2つです。
- 雇用保険資格喪失届
- 離職証明書
2の離職証明書は退職者が不要と言う場合には提出する必要はありません。
2の離職証明書は枚複写の様式で、ハローワークに提出すると2枚が返戻されます。そのうちの1枚は離職票2と呼ばれる書類で、退職者に渡します。
退職者が失業保険を受給する際に必要となる書類です。
社会保険の脱退
健康保険の被保険者証を添付して、日本年金機構の事務センター、または年金事務所に提出します。
健康保険の被保険者証だからといっても健康保険協会に提出するわけではありませんので注意が必要です。
従業員が家族を扶養したとき
扶養には、税金上の扶養と社会保険上の扶養があります。
従業員が家族を社会保険上の扶養にしたときには、社会保険の扶養の異動手続きが必要になります。
- 社会保険の扶養異動
### 社会保険の扶養異動手続
社会保険の扶養加入手続きを行うと、家族の保険証が発行されます。家族分の健康保険料は不要です。
配偶者の場合には、さらに、国民年金も3号被保険者という形で扶養のような扱いになり、国民年金保険料の支払も不要になります。
また国民年金保険料を納めたこととして扱われ、将来年金を受け取ることが出来ます。
社会保険の扶養になれるかどうかは、健康保険協会のサイトで簡単なチェックができるようになっています。
チャートで確認!健康保険 扶養認定
従業員が家族を被扶養者にするとき、被扶養者に異動があったときの手続き|日本年金機構
保険証(被保険者証)を紛失したとき
健康保険の保険証(被保険者証)を紛失または破損(棄損)した場合には、被保険者証を再発行してもらうことが可能です。
- 被保険者証の再発行
健康保険協会(組合)へ申請して手続きを行います。
棄損して再発行する場合には、棄損した保険証を書類に添付して申請します。
業務外での病気・けが、死亡
病気・けが
従業員が病気や怪我で長期間会社を休む場合には、傷病手当金という給付を受けられる可能性があります。
手続きは、健康保険協会(組合)へ申請します。
- 傷病手当金支給申請
死亡
従業員が死亡した場合には、埋葬費という給付が受給できます。
従業員の退職と同じ手続きに加えて、埋葬費の請求を行います。
埋葬費の手続きは、健康保険協会(組合)へ申請します。
従業員が妊娠や出産をしたとき
従業員が妊娠や出産をしたときの手続きはたくさんあります。
大きく2つに分けられます。
- 給付金の受給手続
- 保険料関係の手続
給付金の受給手続
出産や育児をする際に受給できる給付金には、次のものがあります。
- 出産育児一時金
- 出産手当金
- 育児休業給付金
出産育児一時金は、子どもを生んだことに対する医療費の補填的な給付です。
出産手当金は、出産のために会社を休んだ期間に対する所得保障です。
育児休業給付金は、育児休業中に対する所得保障です。
請求先
出産育児一時金と出産手当金は、健康保険協会へ請求します。
しかし、出産育児一時金は立替払い制度があり、出産した病院を通じて請求するケースが一般ですので、会社ではあまり行わない手続きになっています。
育児休業給付金は、ハローワークに申請します。
事業所が労働保険事務組合に加入の場合でも、労働保険事務組合ではなくハローワークへ申請します。
- 出産育児一時金:健康保険協会
- 出産手当金:健康保険協会
- 育児休業給付金:ハローワーク
保険料関係の手続き
産前産後や育児休業の期間中の保険料関係の手続きは、次のようなものがあります。
- 休業期間中の保険料の免除
- 休業期間終了後の標準報酬月額の改定
- 標準報酬月額の特例措置
休業期間中の保険料の免除
産前産後休業期間中と育児休業期間中でそれぞれ手続きが必要になります。
- 産前産後休業期間中の保険料免除:「産前産後休業取得者申出書」
- 育児休業期間中の保険料免除:「育児休業等取得者申出書」
これらの書類を提出することで、それぞれの期間中の社会保険料が免除されます。
保険料は、会社負担分と被保険者負担分との両方が免除されます。
保険料は免除されますが、厚生年金額の積み立てや健康保険の保険証利用などはそのまま継続されますので、非常にお得です。
産前産後休業保険料免除制度|日本年金機構
産前産後休業を取得したときの手続き|日本年金機構
育児休業保険料免除制度|日本年金機構
育児休業を取得したときの手続き|日本年金機構
休業期間終了後の標準報酬月額の改定
休業の終了後(復帰後)に報酬が下がった場合などに、新しい標準報酬⽉額を決定し改定します。
- 「産前産後休業終了時報酬⽉額変更届」
- 「育児休業等終了時報酬⽉額変更届」
標準報酬月額の特例措置
3歳未満の⼦の養育期間中の標準報酬⽉額が養育開始前の標準報酬⽉額を下回る場合に、従前の高い標準報酬⽉額を使って年⾦額を算出する制度です。
- 「養育期間標準報酬⽉額特例申出書」
保険料や健康保険の給付では、現在の標準報酬⽉額を使って金額が算出されます。
固定給が変更になったとき
昇給・降給等で固定的賃金が変わったり支給形態が変わったことで、標準報酬月額が2等級以上変更があったときに標準報酬月額を改定します。
- 「月額変更届」
賞与を支払ったとき
届出すると、賞与の保険料額の決定と被保険者が将来受給する年金額の計算の算出に使用されます。
- 「被保険者賞与支払届」
社会保険の算定(定時決定)
年に一度、社会保険料や社会保険の各種給付(年金の積立額など)に影響がある標準報酬月額を決定する手続きです。
7月1日現在に使用している全被保険者分を一斉に行います。
労働保険年度更新
労働保険(労災保険と雇用保険)料の確定申告みたいなものです。
1年に1度、翌年度分の労働保険料の概算を算出し、概算と同時に当年度分の労働保険料を確定させていくための手続きです。
全従業員分を一斉に行います。
時間外労働や休日労働をさせるとき
時間外・休日労働協定(36協定)
参考
-
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労務関係の法改正 2019年(H31年) 2019.02.04
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