最低賃金が上がると人材不足になる?

昨今の最低賃金の上昇は、扶養内で働くパート従業員に大きな影響を与えます。

130万円以上の年収が見込まれると、社会保険の扶養から外れることになります。

最低賃金が上がることでパート従業員の時間給が上がると、年収を130万円未満に抑えようとすると働く時間が短くなります。そこから人材不足が発生する可能性があります。

扶養の範囲内で働ける時間

2018年10月からの最低賃金は、一番低いところは761円、高いところは985円です。

130万円の年収未満に抑えようとすると、1か月に働ける時間は、次のようになります。

計算式:130万 ÷ 最低賃金 ÷ 12

  • 761円の場合:142時間/月
  • 985円の場合:109時間/月

2017年の場合

2017年の最低賃金で計算すると次のようになります。

  • 737円の場合:146時間/月
  • 958円の場合:113時間/月

最低賃金が上がったことで、月に4時間の労働時間が減りました。

最低賃金ぎりぎりで働いている従業員にとってはうれしい事ですが、これにより月4時間分を別の誰かが補う必要が出てきます。

現在は、業績にかかわらず人手不足の企業が多いのですが、人員流出を防止するためパート従業員の時給を上げようとすると、扶養の範囲内で働きたいというパート従業員に関しては、時給を上げることで月の労働時間が短くなり、別の従業員に負担が圧し掛かり、そこから離職者が出るというジレンマがあります。

仮に1,000円になったら

最低賃金ぎりぎりで雇用している従業員というのはあまりいないかもしれません。

しかし、今後最低賃金の全国加重平均を1,000円まで上げる方向で進んでいるようですので、まだまだ最低賃金は上がる可能性があります。最低賃金ぎりぎりで雇用している従業員がいる場合には、パート従業員の労働力が失われる可能性を考慮しておく必要があります。

仮に、一番低い最低賃金の都道府県の最低賃金が1,000円になった場合、2018年と比べて34時間の労働力が失われます。

130万円 ÷ 1,000円 ÷ 12か月 ≒ 142時間/月

142時間/月 - 108時間/月

全国加重平均で1,000円なので、現在の最低賃金が一番低い地域が1,000円になるわけではないのですが、単純な比較として計算してみました。

今のうちに

今のうちに生産効率を上げて、少ない人数で業務を回せるように工夫をしておくことが大切です。

参考

以前書いた最低賃金の記事はこちらです。

地域別最低賃金の全国一覧 | 厚生労働省