高年齢者無期雇用転換コース
「65歳超雇用推進助成金」には以下の3つのコースがあります。今回は、高年齢者無期雇用転換コースを取り上げます。
• Ⅰ 65歳超継続雇用促進コース
• Ⅱ 高年齢者評価制度等雇用管理改善コース
• Ⅲ 高年齢者無期雇用転換コース
1. 助成金の趣旨
この助成金は、高年齢者の雇用の推進を図るため、50歳以上かつ定年年齢未満の有期契約労働者を無期雇用労働者に転換させた事業主に対して助成を行うものです。生涯現役社会の実現に向けた高年齢者の雇用促進を目的としています。
2. 対象となる会社
この助成金は、以下の要件をすべて満たす事業主に対して支給されます。
◦ 機構理事長に対して「無期雇用転換計画書」を提出し、無期雇用転換計画認定通知書の交付を受けていること。計画の実施期間は2年から3年です。
◦ 有期契約労働者を無期雇用労働者に転換する制度を労働協約または就業規則その他これに準ずるものに規定していること。この制度は、実施時期が明示され、かつ有期契約労働者として締結された契約に係る期間が通算5年以内の者を無期雇用労働者に転換するものに限ります。
◦ 上記制度に基づき、雇用する50歳以上かつ定年年齢未満の有期契約労働者を無期雇用転換計画期間内に無期雇用労働者に転換し、制度の実施状況を明らかにする書類を整備していること。
◦ 転換された労働者を転換後6か月以上継続して雇用し、当該労働者に対して転換日以後6か月分(勤務をした日数が11日未満の月を除く)の賃金を転換日以後12か月後の賃金支払日までに支給した事業主であること。
◦ 支給申請日において当該制度を継続して運用していること。
◦ 転換日の前日から起算して6か月前の日から1年を経過する日までの間に、当該転換を行った適用事業所において、事業主の都合による雇用保険被保険者の解雇等を行っていないこと。
◦ 同期間において、特定受給資格者となる離職理由(離職区分1Aまたは3A)による離職者の割合が6%を超えていないこと(特定受給資格者数が3人以下の場合は除く)。
◦ 無期雇用労働者に転換した日から支給申請日の前日において、当該労働者を雇用保険被保険者として適用させていること。
◦ 無期雇用転換計画書提出日の前日において、高年齢者雇用等推進者を選任し、かつ以下の高年齢者雇用管理に関する措置を1つ以上実施していること。
▪ 職業能力の開発および向上のための教育訓練の実施等。
▪ 作業施設・方法の改善。
▪ 健康管理、安全衛生の配慮。
▪ 職域の拡大。
▪ 知識、経験等を活用できる配置、処遇の推進。
▪ 賃金体系の見直し。
▪ 勤務時間制度の弾力化。
◦ 労働協約または就業規則において、高齢法第8条または第9条第1項の規定と異なる定めをしていないこと。
◦ 高齢法に基づく雇用確保措置や就業確保措置に関する勧告を受けていない事業主であること(勧告を受け、計画申請日または支給申請日の前日までに是正済みの場合を含む)。
◦ 対象労働者は以下の要件をすべて満たす必要があります。
▪ 有期契約労働者として支給対象事業主に雇用される期間が、転換日において通算して6か月以上で50歳以上かつ定年年齢未満であり、無期雇用転換後に65歳以上まで雇用される見込みがある者。
▪ 転換日において64歳以上の者ではないこと。
▪ 労働契約法第18条に基づき、労働者からの申込により無期雇用労働者に転換した者ではないこと。
▪ 無期雇用労働者として雇用することを約して雇い入れられた有期契約労働者ではないこと。
▪ 転換日の前日から過去3年以内に、当該事業主の事業所で無期雇用労働者として雇用されたことがない者。
▪ 無期雇用労働者に転換した日から支給申請日の前日において、当該事業主の事業所の雇用保険被保険者であること。
◦ 国からの出資、交付金、補助金(雇用勘定から支給されるものに限る)を主たる財源とする特別法人は助成金の支給対象外です。
◦ 同一事由で他の国または地方公共団体等の補助金等を受けている場合は、支給されないことがあります。
3. 何を行う必要があるのか
1. 計画申請: 無期雇用転換計画の開始日の6か月前の日から3か月前の日までに、「無期雇用転換計画書」と必要な添付書類を機構の都道府県支部高齢・障害者業務課等に提出し、計画の認定を受ける。
▪ 添付書類には、事業内容を示す書類、計画書提出日の前日における定年・継続雇用制度が確認できる労働協約または就業規則の写し、無期転換制度が確認できる労働協約または就業規則等の写し、高年齢者雇用管理に関する措置を講じていることを確認できる書類、雇用保険適用事業所設置届等の写し、雇用保険適用事業所等一覧表、支給要件確認申立書などが含まれます。
▪ 計画書の写しは、無期雇用転換計画の実施期間終了年月日の翌日から起算して5年間保存しなければなりません。
2. 措置の実施: 認定された計画に基づき、50歳以上かつ定年年齢未満の有期契約労働者を無期雇用労働者に転換する。転換後、当該労働者を6か月以上継続雇用し、6か月分の賃金を支給する。
3. 支給申請: 対象労働者に対して転換日以後6か月分(勤務をした日数が11日未満の月を除く)の賃金を支給した日の翌日から起算して2か月以内に、「65歳超雇用推進助成金(高年齢者無期雇用転換コース)支給申請書」と必要な添付書類を機構の都道府県支部高齢・障害者業務課等に提出する。
▪ 添付書類には、計画書提出日から支給申請日の前日までの定年・継続雇用制度および無期転換制度が確認できる労働協約または就業規則の写し、対象労働者の転換前後の労働条件通知書等、対象労働者雇用状況等申立書、賃金台帳、出勤簿、雇用保険被保険者資格取得等確認通知書、雇用保険適用事業所等一覧表、預金通帳等振込先口座の確認ができる書類などが含まれます。
4. 提出した書類の写しは、支給決定日の翌日から起算して5年間保存しなければなりません。
4. 支給額(受給額)
対象労働者1人につき30万円(中小企業以外の事業主にあっては23万円)が支給されます。 支給申請年度における対象労働者の合計人数は、転換日を基準として、1適用事業所あたり10人までです。
5. いつの時期に申請するのが効果的か。いつから準備を始める必要があるか。
◦ 計画申請期間: 無期雇用転換計画の開始日の6か月前の日から3か月前の日までです。この期間内に計画書の提出と認定を受ける必要があるため、計画開始の約半年前には準備を開始し、申請を完了しておくことが重要です。
◦ 支給申請期間: 対象労働者に対して転換日以後6か月分(勤務をした日数が11日未満の月を除く)の賃金を支給した日の翌日から起算して2か月以内です。転換後6か月分の賃金支給が完了したら、速やかに申請を行うことが必要です。
◦ 準備期間:
▪ 計画開始日の3か月前までに計画書を提出できるよう、無期雇用転換計画の策定、無期雇用転換制度を労働協約または就業規則に規定、高年齢者雇用等推進者の選任を済ませておく必要があります。
▪ 計画認定後、計画期間内(2年から3年)に50歳以上かつ定年年齢未満の有期契約労働者を無期雇用労働者に転換し、転換後6か月以上継続雇用し、6か月分の賃金を支給する措置を実施します。
◦ 留意事項: 助成金の審査には支給申請書の受理から3か月程度時間を要します。機構の求める書類が期限までに提出されない場合、助成金は支給されません。各計画年度中に、事業主都合により50歳以上かつ定年年齢未満の有期契約労働者に対して一度も転換制度を実施しなかった場合、計画書は失効となり支給されません。
◦ 令和7年4月1日から電子申請の利用が開始されています。