高年齢者評価制度等雇用管理改善コース
「65歳超雇用推進助成金」には以下の3つのコースがあります。今回は、高年齢者評価制度等雇用管理改善コースを取り上げます。
• Ⅰ 65歳超継続雇用促進コース
• Ⅱ 高年齢者評価制度等雇用管理改善コース
• Ⅲ 高年齢者無期雇用転換コース
1. 助成金の趣旨
この助成金は、高年齢者の雇用の推進を図るため、高年齢者の雇用管理制度の整備に係る措置を実施した事業主に対して助成を行うものです。生涯現役社会の実現に向けた高年齢者の雇用促進を目的としています。
2. 対象となる会社
この助成金は、以下の要件をすべて満たす事業主に対して支給されます。
◦ 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(機構)の理事長に対して**「雇用管理整備計画書」を提出し、その計画が認定され、雇用管理整備計画認定通知書の交付を受けている**こと。計画の実施期間は1年以内です。
◦ 認定された雇用管理整備計画に基づき、計画実施期間内に規定された高年齢者雇用管理整備の措置を実施し、その実施状況および計画終了日の翌日から6か月間の運用状況を明らかにする書類を整備していること。
◦ 雇用管理整備計画書提出日の前日において、高年齢者雇用等推進者を選任していること。
◦ 労働協約または就業規則において、高齢法第8条または第9条第1項の規定と異なる定めをしていないこと。
◦ 高齢法に基づく雇用確保措置や就業確保措置に関する勧告を受けていない事業主であること(勧告を受け、計画申請日または支給申請日の前日までに是正済みの場合を含む)。
◦ 支給申請日の前日において、当該事業主に1年以上継続して雇用されている60歳以上の雇用保険被保険者であって、講じられた措置により雇用管理整備計画終了日の翌日から6か月以上継続して雇用されている者が1人以上いること。
◦ 高年齢者雇用管理整備の措置の実施に必要な許認可等を受けていること。
◦ 措置の実施に要した経費(規定の対象経費)を支払った事業主であること。
◦ 国からの出資、交付金、補助金(雇用勘定から支給されるものに限る)を主たる財源とする特別法人は助成金の支給対象外です。
◦ 同一事由で過去に他の助成金や補助金等を受けている場合、支給されないことがあります。
3. 何を行う必要があるのか
1. 計画申請: 雇用管理整備計画の開始日の6か月前の日から3か月前の日までに、「雇用管理整備計画書」と必要な添付書類を機構の都道府県支部高齢・障害者業務課等に提出し、計画の認定を受ける。
▪ 添付書類には、事業内容を示す書類、計画書提出日の前日における定年・継続雇用制度が確認できる労働協約または就業規則の写し、雇用保険適用事業所設置届等の写し、雇用保険適用事業所等一覧表、支給要件確認申立書などが含まれます。
▪ 計画書の写しは、認定決定日の翌日から起算して5年間保存しなければなりません。
2. 措置の実施: 認定された雇用管理整備計画に基づき、計画実施期間内(1年以内)に以下のいずれかの高年齢者雇用管理整備の措置を実施し、その経費を支払う。
▪ 高年齢者の職業能力を評価する仕組みと賃金・人事処遇制度の導入または改善。
▪ 高年齢者の希望に応じた短時間勤務制度や隔日勤務制度などの労働時間制度の導入または改善。
▪ 高年齢者の負担を軽減するための在宅勤務制度の導入または改善。
▪ 高年齢者が意欲と能力を発揮して働けるための研修制度(職業生活設計研修を含む)の導入または改善。
▪ 専門職制度など、高年齢者に適切な役割を付与する制度の導入または改善。
▪ 法定外の健康管理制度(人間ドック、がん検診、生活習慣病予防検診など)の導入。
▪ その他、高年齢者の雇用の機会の増大に必要な高年齢者の雇用管理制度の導入または改善。
3. 支給申請: 雇用管理整備計画の実施期間の終了日の翌日から起算して6か月後の日の翌日からその2か月後までに、「65歳超雇用推進助成金(高年齢者評価制度等雇用管理改善コース)支給申請書」と必要な添付書類を機構の都道府県支部高齢・障害者業務課等に提出する。
▪ 添付書類には、支給対象経費の支払いを確認できる書類、措置の実施に必要な資格・免許等に関する書類、措置の実施結果および運用状況がわかる書類、研修を行う者の承諾書(研修制度の場合)、支給対象被保険者の雇用保険資格取得状況を確認できる書類、出勤簿・賃金台帳、計画書提出日から支給申請日の前日までの定年・継続雇用制度が確認できる労働協約または就業規則の写し、雇用保険適用事業所等一覧表、預金通帳等振込先口座の確認ができる書類などが含まれます。
4. 提出した書類の写しは、支給決定日の翌日から起算して5年間保存しなければなりません。
4. 支給額(受給額)
助成金の額は、雇用管理整備計画の実施期間内に要した支給対象経費(人件費を除く。支給申請日までに支払いが完了し、証拠書類で確認できるものに限る)に助成率を乗じて得た額(100円未満切り捨て)となります。
◦ 助成率:
▪ 中小企業: 60%
▪ 中小企業以外: 45%
◦ 支給対象経費:
▪ 雇用管理制度の導入または見直しに必要な専門家等に対する委託費、コンサルタントとの相談に要した経費。
▪ 上記の措置の実施に伴い必要となる機器、システム、ソフトウェア等の導入に要した経費。
▪ 支給対象経費の上限額は50万円です。
◦ 初回申請時の特例: 1事業主につき最初の支給に限り、上記措置の実施に50万円の経費を要したものとみなされます。この場合の支給額は、中小企業で30万円、中小企業以外で22.5万円です。
◦ 2回目以降の申請: 専門家への委託費等と機器等導入経費を合わせて上限50万円の実費に助成率を乗じた額が支給されます。
5. いつの時期に申請するのが効果的か。いつから準備を始める必要があるか。
◦ 計画申請期間: 雇用管理整備計画の開始日の6か月前の日から3か月前の日までです。この期間内に計画書の提出と認定を受ける必要があるため、計画開始の約半年前には準備を開始し、申請を完了しておくことが重要です。
◦ 支給申請期間: 雇用管理整備計画の実施期間の終了日の翌日から起算して6か月後の日の翌日からその2か月後までです。
◦ 準備期間:
▪ 計画開始日の3か月前までに計画書を提出できるよう、雇用管理整備計画の策定、高年齢者雇用等推進者の選任を済ませておく必要があります。
▪ 計画の認定後、計画期間内(1年以内)に高年齢者雇用管理整備の措置を実施し、その実施に必要な経費の支払いを完了させます。
▪ 措置実施後、計画終了日の翌日から6か月間の運用状況を明らかにする書類を整備する必要があります。
◦ 留意事項: 助成金の審査には支給申請書の受理から3か月程度時間を要します。機構の求める書類が期限までに提出されない場合、助成金は支給されません。
◦ 令和7年4月1日から電子申請の利用が開始されています。