年金はいつからもらうのが良いのか
- 2018.06.12
- 退職金・年金
原則は65才から
2018年現在、年金の受給開始年齢は65歳です。
原則は65歳から受給なのですが、年金制度には繰上げ受給と繰下げ受給という受給開始時期をずらす手段が用意されています。
繰上げ繰下げ受給
繰上げ制度は65歳より前から受給を開始する制度で、最短では60歳から受給を開始できます。
繰下げ制度は65歳より後に受給を開始する制度で、最長の場合には70歳から受給を開始できます。
繰上げ繰下げによる年金額の調整
65歳でもらえる金額のままであれば60歳からもらうのがお得ですが、当然もらえる金額には調整がかかります。
年金額に、繰上げの場合は最大で30%のマイナス、繰下げの場合には最大で42%のプラスして支給されます。そして、その金額での支給が一生続きます。
例えば、繰上げ受給をし60歳で年金をもらい始めた場合には、本来もらえる金額の70%の額の支給がずっと続きます。
65歳になっても70歳になっても100歳になっても死亡するまでです。
逆に65歳以降に繰下げてもらい始めた場合には、本来もらえる額の142%の金額の支給がずっと続きます。
繰上げ受給と繰上げ受給の問題点
繰上げ受給の問題点
繰上げ受給には、行うことで年金制度上のデメリットが生じます。
繰上げ受給を開始してしまうと、65歳になる前に障害を負ってしまっても障害基礎年金を請求することができなくなります。
また、寡婦年金が支給されなくなり、既に寡婦年金を受給している場合には受給権がなくなります。
繰下げ受給の問題点
繰下げ受給にも問題があります。
上で書いた年齢による損益は、現在の年金制度のままの場合ということです。
政府は簡単に法改正を行ないます。
その改正は受給者にとって不利な改正であることが多いのです。たとえば、支給額が減る、受給開始年齢が遅くなるということが起こり得ます。
少子高齢化社会の中、年金収支の関係からも有利な内容での改正は少ないと想像できます。
受給者にとって不利な改正であっても、改正時にあった権利はなるべく守る方向で調整されていくことは多く、そうなると早く年金をもらっている方がお得である可能性もあります。
何歳からもらうのがお得か
では、何歳からもらうのがお得なのでしょうか?
何をもってお得と考えるかは人それぞれですので、年金のそう受給額という部分から考えてみます。
それにしてもこれは難しい質問です。何歳で死ぬかを予想するのと同じだからです。
年金の総受給額と年齢で考える
受給開始年齢と、年齢到達時点での総受給額が一番多くなる年齢の関係は次のようになります。
受給開始年齢 |
年齢 総受給額が最多 |
65歳受給よりお得になる年齢 |
60 |
72まで |
76まで |
61 |
73・74 |
77まで |
62 |
75・76 |
78まで |
63 |
77 |
79まで |
64 |
79 |
80まで |
65 |
|
|
66 |
|
78以降 |
67 |
80・81 |
79以降 |
68 |
82・83 |
80以降 |
69 |
84・85 |
81以降 |
70 |
86以降 |
82以降 |
例えば、60歳に繰上げ受給を開始した場合、72歳到達の時点までに受け取る総額は他の需給開始年齢からもらい始めた総額よりも多くなります。
年単位で書いてありますので、66歳が空白になっていますが、66歳受給開始の場合は、79歳1か月から10か月くらいまでにもらう総額が最多になります。
原則どおりの65歳の場合は空白のままです。
年金の繰上げを考える年齢(60歳)での平均余命
平成28年簡易生命表では、日本人の平均寿命は、男性80.98、歳女性87.14歳です。
60歳時点での平均余命は、男性で23.67年、女性で28.91年となっています。
つまり、平均して、男性は83.67歳まで女性は88.91歳まで生きるということです。
あくまでも平均余命という統計を当てはめた上での数字ですので、実際の余命は個人によって異なります。
結局何歳から年金をもらうのが、お得なのでしょうか。実に難しい問題です。
平均寿命や平均余命から、81歳くらいまでは生きられそうなので、67歳から繰下げ受給するのがお得なのでしょうか?
年金をいつから貰うのか2つの考え方
年金をいつからもらうのがお得なのかを考えてみると、2つの考え方があります。
- 総受給金額で考える
- 貰える物はさっさと貰う
総受給金額で考える
現状の年金制度が続くと仮定して、上で書いてきたように平均余命から想定して何歳まで生きるか考え、総受給金額で考える方法です。
貰える物はさっさと貰う
年金制度の改正(改悪)に備えて、早くから貰ってしまうというのがもう一つの方法です。
すでに貰っている人の権利を突然奪うような形での改正が行われることは少ないからです。
年金を貰いながらも働ける間は働いて給与で生活費を賄い、受け取った年金を投資に回すのも一つの手段だと考えられます。
参考
-
前の記事
法改正 確定拠出年金法 2018.1.1~(平成30年) 2018.01.12
-
次の記事
企業型DCとiDeCo(個人型DC)の違い 2018.10.10