給与計算の端数処理
- 2016.06.28
- 給与計算・年末調整
目次
給与計算上の四捨五入は、原則として法違反
賃金は、原則として、その全額を労働者に支払わなければならない。(労基法第24条)
つまり、円未満の四捨五入等は法違反
通達により、法違反とならない
下記に記載した内容の場合は、通達により、賃金支払の便宜上の取扱いと認められ、法違反としては取り扱われない。(昭和63.3.14基発150)
円未満の端数の切捨てを行っても、労基法違反とならない。
金額の端数処理
割増賃金の計算
- イ) 1時間あたりの賃金額及び割増賃金額に円未満の端数が生じた場合、
- 50銭未満の端数を切り捨て、
- 50銭以上の端数を1円に切り上げる
- ロ) 1か月間における時間外労働、休日労働、深夜業の各々の割増賃金の総額に1円未満の端数が生じた場合、
- 「イ」と同様に処理する。
平均賃金の計算
- ハ) 賃金の総額を総暦日数で除した金額の銭未満の端数を切り捨てる
平均賃金を基にして休業手当等を計算する場合は、特約がなければ円未満の端数処理は上記「イ」と同じ。
1か月の賃金計算
就業規則に定めた上で、下記「ニ」・「ホ」の取り扱いも可能
- ニ) 1か月の賃金額(賃金の一部を控除して支払う場合には控除した残額)に100円未満の端数が生じた場合に、
- 50円未満の端数を切り捨て、
- 50円以上の端数を100円に切り上げて支払う
- ホ) 1か月の賃金額に1000円未満の端数がある場合に、
- その端数を翌月の賃金支払日に繰り越して支払う。
時間の端数処理
- 1か月における時間外労働、休日労働及び深夜業の各々の時間数の合計に1時間未満の端数がある場合に、30分未満の端数を切捨て、それ以上を1時間に切り上げる。
遅刻、早退、欠勤等の時間の端数処理
- 5分の遅刻を30分の遅刻として賃金カットをするというような処理は、労働の提供のなかった限度を超えるカット(25分についてのカット)について、賃金の全額払いの原則に反し、違法。
減給の制裁としてであれば、労働した25分を不支給にすることが可能。
要件は、次のすべてにあてはまる場合。
- 就業規則に減給の制裁として定める
- 減給額は次の1および2まで(労基法第91条)
- 1回の額が平均賃金の1日分の半額以下
- 減額の総額が、一賃金支払期における賃金の総額の10分の1以下
保険料の控除に関する端数処理
雇用保険料の被保険者負担分について1円未満の端数が生じる場合
- 被保険者負担分を賃金から源泉控除する場合は、
- 被保険者負担分の端数が50銭以下の場合は切り捨て、
- 50銭1厘以上の場合は切り上げ。
- 被保険者負担分を被保険者が事業主の方へ現金で支払う場合は、
- 端数が50銭未満の場合は切り捨て、
- 50銭以上は切り上げ。
- 慣習的な取り扱い等の特約がある場合は、この限りではない(特約に従う)。
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